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観察と加工は同じこと
一般的な感覚で言えば、「ものを観察すること」と「ものを加工すること」は、全く別の行為に思えるだろう。しかし、微細加工の領域においては、これは殆ど同じ行為なのである。どういうことか説明しよう。 |
電子顕微鏡で観るとは、電子ビームを観察対象の表面に照射してそこから放出される二次電子を検出することであった。表面から二次電子を出すとはどういうことか?それは表面物質を構成する原子から電子が弾き飛ばされる、つまり、電子ビームによって表面物質に損傷を与えていることになる。
イオンビームであれば、表面原子を直接弾き飛ばして、まさに表面を「加工」することができるが、電子は原子に比べて質量が小さいため、電子ビームの場合は表面原子を直接弾き飛ばすわけには行かない。電子ビームの場合は、基盤の表面にレジストと呼ばれる感光物質を薄く塗布し、そこに電子ビームを照射する。そうすることにより、レジストを構成する分子の化学的特性が変わり、「現像」というプロセスを経ることで、電子ビームを照射した部分のみが削り取られたレジストのパターンが出来上がる。直接電子ビームで加工するわけではないので、「電子ビーム加工」とは言わずに「電子ビーム描画」と呼ぶのが一般的である。 |
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電子ビームは拡がる
電子線描画装置では、試料に照射する電子ビーム径は数nmレベルまで絞ることができる。では、そのサイズのパターンが描画できるかというとそう簡単ではない。質量の小さい電子は、レジスト内で分子に散乱されながら拡がっていく(前方散乱)。また、基盤表面付近で大きく散乱されて跳ね返ってきた(後方散乱)電子がレジスト内を走り回ることになる。また、基盤表面で生成される二次電子もレジストに影響を与える。その為、電子ビームで露光される領域は電子ビーム径よりも大きくなってしまう。
前方散乱の影響を減らすには電子ビームのエネルギーを上げることである。つまり、高加速電圧の電子線描画装置ほど、微細パターンを描画する能力をもっていると言える。しかしながら、高加速電圧にすれば良い事ばかりではない。レジスト内で電子が失うエネルギーは阻止能の式からも分かるように(lnE)/Eに比例する(Eは入射エネルギー)。つまり、エネルギーを上げるほど電子ビームがレジストに与えるエネルギー(=電子が失うエネルギー)は小さくなり、その結果、十分な露光量にするためにはより長い描画時間が必要となってしまう。
後方散乱電子や二次電子の影響を軽減するためには、原子番号の小さい原子で構成された基盤を使うのが効果的であるが、基盤としての平面度や強度を考えるとシリコン結晶、ガラスなどに限られる。その為、基盤とレジストの間に吸収層を入れ、後方散乱電子、二次電子の影響を軽減する研究も行われている。 |
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